何度もずっとこのブログで取り上げてきたDOSBox-Xエミュレーターを改めて紹介します。
導入する理由
MS-DOSとPC-98のゲームを拘った環境で遊びたい人向けのエミュレーターです。
DOSBox-XとはDOSBoxの派生エミュレーターで、数多くの機能が存在しています。DOS互換のゲームエミュレーターとしてだけではなく、PC-98互換モードもあります。
GOG.comでDOSゲームを購入すれば、DOSBoxがバンドルされます。大抵の場合それで問題はありません。DOSBoxではできない設定をしたい人、自分で拘ってゲーム環境を作りたい人はDOSBox-Xを導入したほうが良いと言えます。
私が思うこのエミュレーターを使う主なメリットとして
- スクリプトで起動を自動化
- 豊富な機能とショートカットキー
- CGA Compositeモードが使える(DOS)
が挙げられます。いちいちゲームファイルを選択したり、入れ替えたりする必要がなくなります。主に98のゲーム環境がより快適になるのではないかと思います。98モードでは動かないゲームもあるので、その場合は都度最新版を試したほうがよいです。
インストール
WIndowsユーザー向けです。インストーラーがあるので簡単にできます。
公式サイトからダウンロードする。
32/64-bit Setup:win7+
という場所を押せばダウンロードが始まります。(2024現在)dosbox-x-windows-ver名-setup.exe
というファイルがダウンロードされます。
32bitと64bit版がありますが、私は32bit版を使用しています。
インストールする際のオプションです。
上から2番目に
Write common config options (instead of all) to the configuration file
とありますが、これはconfigを記述するテキストファイル(conf
ファイル)に、値の説明をするコメントアウト行を入れるかどうかです。このコメントアウトは大量に記述されているのでconf
ファイルが長ったらしくなります。 それを嫌う人はチェックを外してください。あとからでも消せますが面倒です。
コメントアウト行はdosbox-x.reference.full.conf
ですべて見れます。
他のオプションは次の通りです。
Add "Run/Open with DOSBox-X" context menu for Windows Explorer
エクスプローラーで右クリックしたときに「DOSBox-Xで実行」を表示するかAutomatically center the window on the screen when DOSBox-X starts
DOSBox-Xを起動したときにウィンドウを中心にするかEmulate the slowness of floppy drive and hard drive data transfers
ファイル読み込みの速度もエミュレートするか
こだわりがなければデフォルトのままでも良いです。
DOSBox-Xのショートカットファイルなどで起動作業を自動化できるので、ROMをおいてる場所とDOSBox-Xのインストール場所はなるべく近いほうが簡略化できます。
無事に起動すればインストール完了です。
Configの編集
DOSBox-Xを起動する際にconf
ファイルを読み込ませる必要があります。デフォルトではDOSBox-Xと同じフォルダにあるdosbox-x.conf
を読み込みます。
設定をするならconf
ファイルをテキストエディタで開いて設定オプションを書き換える方法が楽です。ゲームごとにconf
ファイルを作成しておくことで設定環境を使い分けられます。
私の知る範囲で、デフォから変える可能性がある設定オプションだけここに抜粋していきます。すべての設定オプションの記述方法はdosbox-x.reference.full.conf
で確認できます。
[sdl]セクション
windowresolution = 640x480 #DOSBox-X実行ウィンドウの解像度。
autolock = true/false #ゲームでマウスを使うときウィンドウ内に閉じ込めるかどうか。
mapperfile = mapper-dosbox-x.map #キーボード設定ファイルの名前と場所。デフォはマウントフォルダの中。
[dosbox]セクション
machine = svga_s3 #できる限りキレイなグラで遊ぶならデフォで良い。PC98を使う場合は"pc98"。
captures = capture #スクショを保存するフォルダ。デフォルトはマウントしたフォルダにCapturesが作成される。
[render]セクション
scaler = tv2x #ディスプレイをテレビ風に設定する。ゲーム中に"Video>scaler"から別の設定へ調整可能。
[cpu]セクション
cycles = auto #ゲームの実行速度に関係する最重要事項。フレームリミッターのない古いゲームは1000以下の値で調整。
cycleup = 10 #cpucycleupを使用したときの上げ幅
cycledown = 20 #同じく下げ幅
[autoexec]セクション
#この設定でDOSBox-Xを起動した際に自動で実行するコマンドライン。batファイルと同じ役割。
#次のように記述するとゲームを自動実行できる
mount C "マウントしたいゲームフォルダのパス"
c:
"ゲームの起動ファイル"
音源関連の設定。ゲームによって必要であれば設定する。
[pc98]セクション
pc-98 sound bios = true #デフォルトでは存在しない。98のsound biosを利用するなら追加で記述する。DOSBox-Xのフォルダの中にSOUND.ROMが存在している必要がある。
pc-98 load sound bios rom = true #上に同じ。
[midi]セクション
midiconfig = 0 #midi driveの番号を指定する。主にMT-32を使う場合に必要。DOSBox-Xを起動してコマンドで"mixer/listmidi"と打つと利用可能なmidi driverの番号が表示される。
[sblaster]セクション
sbtype = sb16 #CMS対応のゲームを使用するときのみ調整する。
enable speaker = false #CMSを利用するならtrueにする。
[innova]セクション
innova = false #Innovation音源に対応したゲームをするときはtrue
samplerate = 22050 #44100,48000,32000,22050,16000,11025,8000,49716に対応。大きいほど高音になる。
ゲームショートカットの作成
DOSBox-X上でゲームを起動する場合はマウントという作業が必要になります。マウントとは、Windows上のフォルダをDOSBox-X上で扱えるようにするコマンドのことです。dosbox-x.exe
を開いて
mount C "Windows上のフォルダパス"
と入力すれば、DOSBox-XのドライブCでマウントしたフォルダを扱えるようになります。DOSBox上では最初ドライブZがカレントディレクトリとなっているので、
C:
とコマンド入力してドライブCに切り替えます。
DOSBox-Xのデフォルトで:
が打てない場合はshift+;
を試して下さい。"
はshift+:
で出ます。\
は/
でもOKです。
その後にゲームの起動ファイルをコマンド入力すれば起動します。
しかし、いちいちこんな作業をするのはめんどくさいのでwindows上のショートカットで自動化するほうが良いです。dosbox-x.exe
のショートカットファイルを作成すれば簡単にゲームが起動できます。
dosbox-x.exe
の起動コマンドラインでは-set "設定オプション"
と-conf "confファイルのパス"
が使えます。
-set "設定オプション"
実行する間だけ設定オプションを変更して起動できます。
例えば-set "machine=pc98"
とすればdosbox-x.exe
を強制的にPC98モードで起動できます。-conf "confファイルのパス"
指定したconf
ファイルを読み込んでdosbox-x.exe
を起動できます。
例えばGOG.com版のUltima4を起動する方法を例に挙げます。ゲームフォルダはC:\Program FIles(x86)\GOG Galaxy\GAMES\Ultima 4
です。このゲームフォルダの中にUltima4用のconf
ファイルを作成します。ここではu4.conf
というファイル名にして[autoexec]
へ次のように記述します。
[autoexec]
mount c "C:\Program Files(x86)\GOG Galaxy\GAMES\Ultima 4"
c:\
TITLE.EXE #起動ファイル1
AVATER.EXE #起動ファイル2
次にdosbox-x.exe
のショートカットファイルを作成して、プロパティを開いてリンク先へ次のように記述してみます。
"c:\~~~\dosbox-x.exe" -conf "C:\Program FIles(x86)\GOG Galaxy\GAMES\Ultima 4\u4.conf
"
このDOSBox-Xのショートカットファイルを開けば無事にゲームが起動します。
同じconf
ファイルを共有したままグラフィックだけ変えたい場合、例えばmachine=CGA_Composite
にしたいなら
"c:\~~~\dosbox-x.exe" -conf "C:\Program FIles(x86)\GOG Galaxy\GAMES\Ultima 4\u4.conf
" -set "machine=cga_composite"
とします。
フロッピーディスクイメージの場合
PC98モードでフロッピーディスクイメージを読み込む場合はmount
ではなく、imgmount
というコマンドが必要になります。
以下はconf
ファイルの[autoexec]
へ記述する例です。(fdi
ファイルがC:\GAME
にあるとします)
[autoexec]
imgmount 0 "C:\GAME\game1.fdi"
imgmount 1 "C:\GAME\game2.fdi"
boot -L a
0がドライブ1、1がドライブ2となります。
ゲーム中にディスクの切り替えが生じる場合、パスを続けて記述します。例えばドライブ1でgame1.fdi
とgame2.fdi
を切り替える必要がある場合は
[autoexec]
imgmount 0 "C:\GAME\game1.fdi" "C:\GAME\game2.fdi"
imgmount 1 "C:\GAME\game3.fdi"
boot -L a
とします。DOSBox-XウィンドウのDOS
欄にSwap floppy drive(フロッピーを入替)
があります。ディスクの入れ替えが必要になったらそれでフロッピーを入れ替えます。初期ではF11+O
にショートカットが割り当てられています。ショートカットの変更は後述しますが、私はAlt+D
に割当を変更しています。
キー設定の変更
キー設定はconf
ファイルにあるmapperfile=
以降に書かれたファイルに従います。キー設定を変更したらそのファイルにキー設定が保存されます。
デフォルトではmapperfile = mapper-dosbox-x.map
となっています。
mapper-dosbox-x.map
はマウントしているフォルダの中へ作成されます。もし全てのconf
ファイルで共通のキー設定を行いたい場合は、読み込みたいmap
ファイルの絶対パスを記述してください。空白にした場合はキー設定が保存されません。
DOSBox-Xを開いてMain
欄のMapper editor
を選択します。またはデフォルトでF11+M
のショートカットで開きます。
画面は英語版と日本語版です。バージョンによってレイアウトが変わりますが基本的に同じです。
キー設定画面では、del(削除)
で現在の割り当てを削除、Add(追加)
を押してキーを入力すると入力したキーが割り当てられます。Bind
のキーがパソコンのキーボードで入力するキーのことで、Event
が出力するキーです。1つの出力キーに2つ以上入力キーを割り当てる場合はNext(次)
を押して追加します。割当が上手く完了したらSave(保存)
を押します。失敗したら保存せずExit(終了)
を押してください。
ショートカットキーにAlt
など母体キーを割り当てたい場合はMod1
やMod2
などのボタンを直接クリック選択します。デフォルトでは
Mod1=Ctrl
Mod2=Alt
Mod3=Shift
Host=F11
となっています。
日本語入力(PC98)
98モードでの設定画面です。
殆どの場合はKANA
キーを使用すれば日本語入力が可能になると思います。いらない適当なキー(Tab
が筆頭)を割り当てましょう。その際、新たに割り当てたキーはdel
にて削除しておくことをおすすめします。
グラフィックの違い(DOS)
グラフィックの特徴を大雑把に説明しておきます。
Hercules
モノクロで表示されます。横の解像度が高く文字が高精細ですがほとんどのゲームは非対応で使いません。
CGA
4色カラーの一番ベーシックなカードです。最低限これに対応しています。殆どのゲームはEGAまたはCGA Compositeモードに対応するのでそちらを使ったほうが良いです。起動中にショートカットキーでCGA Compositeへ切り替えられます。
CGA Composite
CGAをベースとして最大16色のカラーに対応します。CGAよりも解像度が落ちるので精細さにはかけますが、多くの初期のゲームはこのモードを前提として作られていました。
DOSBox-Xでは使用できますが、DOSBoxでは利用できません。machine=cga_composite
またはcga_composite2
です。2つはカラーパレットが微妙に異なります、またショートカットキーで切り替えることができます。また実行中にCGAへショートカットキーで切り替えられます。
別記事で詳しく書いてます。
DOSのゲームをCGA Compositeモードで遊ぶ ウルティマ4 - ピーえぬのブログ
Tandy
Tandyマシン向けなので対応しているゲームは少ないですが、高精細な16色が使用できます。最大の特徴は音源で内蔵スピーカーの数段美しい音楽を楽しめます。King's QusetやSpace QuestなどSIEERA ON-LINEのゲームが数多く対応します。
EGA
初期ゲーム以外はほとんどのゲームがこれに対応します。16色で解像度も高く、文字がはっきりと見えキレイなグラフィックです。
最後に
都度、更新していきます。